ヒマラヤ登山は男の世界というイメージは、まだまだ強いと思う。
今まで同行した7つのヒマラヤ登山隊は、隊員全員が男だった。
だからメンバー8人全員が大学生で、そのうち4人が女子というこのR大学登山隊は、かなり画期的。
隊列の最後尾を歩いていると、前を行く女子の賑やかな話し声、笑い声が、絶え間なくずーーーっと聞こえてくる。やがて話題が尽きると、「しりとり」を始めた。
男ばかりの登山隊に、とてもこんな明るさはない。
しばらく歩いて、川のほとりで休憩。1年と2年の女子が、元気に「アルプス一万尺」を歌い出した。
そして、星降るヒマラヤ山中の夜。やっと寝静まったと思ったら、今度は3年女子が鬼ごっこ(?)を始めた。
そのうち、マクラ投げでも始めそうな勢いだ。
標高4800mのベースキャンプでも、5000m超のハイキャンプでも、高山病で静かになるどころか、彼女たちの元気さ、賑やかさは最後まで変わらなかった。
男女同数の効用か、メンバー内の意思決定も、とってもフェアだ。
その日に調子が悪い人の荷物は、元気な者が分担して背負う。
食事当番は、上級生が率先してこなす。
そして1年生は、いちばん暖かいテントの真ん中に寝かせていた。
ちなみに、私が新人だった頃の山岳部は、圧倒的な男社会のタテ社会。4年生は神様で、1年生は奴隷だった。
テントではいつも端っこに寝かされ、夜中に起きると、吹き込んだ雪で寝袋が真っ白。まだ先輩が寝ている横で、未明から黙々と食事を作った。
卒業して入った報道カメラマンの世界もまた、封建的な男社会だった。当時はまだフィルムカメラの時代、新人は日がな暗室に籠り、ひたすら先輩が撮って来た写真を現像した。手の爪は、有害な現像液でまっ黄色だ。
そして、いま働く病院という世界は、女性がとても多い。
特に私がいる病棟は、看護師さん全員が女性で、医師も女性ばかり。
女19対男1。完全アウェーの日々。
毎日ナースに囲まれていいね、と思う人は、全くもって考えが甘い。患者として接するナースと、助手として使われる立場で接するナースとでは、大違いなのだ。
できれば、患者のままでいたかった…
ま、そんな話は置いといて。
どんな組織でも、男女半々ぐらいが、一番うまくいくんじゃないかな。
R大学登山隊を見ていて、心からそう思った。
Rolwaling valley, Nepal 2023 |
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