「501号室 ○○さん 週2回」
「502号室 △△さん 週3回」
「503号室 □□さん 毎日」
ナースステーションのホワイトボードに、こんな書き込みを見つけた。
患者さんそれぞれに許されている、面会の回数だ。
そして面会がひんぱんに認められる人ほど、命の切迫度が高い人なのだ。
この夏、病院では入院患者の面会が禁止になり、それが今も続いている。この3年間で、いったい何度めの面会禁止令だろう。
この緩和ケア病棟だけ、週2回・1回15分の面会が認められている。
そしていよいよ看取り期に入ると、主治医の判断で、泊まり込みの付き添いがOKになる。
寝具を準備するのは、看護助手である私の仕事だ。
遠方から来て15分言葉を交わしただけで、そそくさと帰っていく患者の夫や妻、子どもたちを見送りながら、いつも「なんだかなぁ…」と思う。でもこの病院は、まだいい方らしい。
11月28日付読売新聞「医療ルネサンス・続・コロナ禍の傷痕」に、主治医に「明朝までもつかどうか…」と告げられて入院中の母に会おうとした娘が、「一切の面会は遠慮して」と看護師に断られるシーンが登場する。
「医療において、最も尊重されるべきは、患者の気持ち、意思、権利、尊厳ではないか。コロナ禍であれば、いのちが尽きようとしている患者でさえ、それらは後回しにされるのか」(29日付同紙より)
友人の子どもが通う小学校では、文部科学省が強制も推奨もしていないのに、いまだに給食時の「黙食」が守られている。
不登校の小中学生が過去最多を記録したという記事(10月28日付読売新聞)によると、不登校の増加は、コロナ禍による学級閉鎖や「黙食」で、子どもが教員や友人との人間関係を作りにくくなっているのが影響しているという。
家でサッカーW杯の映像を見ていたら、世界中から中東カタールに集った8万観客がスタジアムを埋め尽くし、マスクもつけずに絶叫していた。
コロナ遥かなり。
一方この国では、病院の面会制限や学校での「黙食」を一律的に3年近く続けて、終わる気配さえない。マスクはもはや「顔パンツ」と化してしまった。
いったい、誰が何を根拠に決めたことやら。
「患者の人権」「子どもの人権」が、自縄自縛の末に、消えていく。
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