入浴介助の合間に裸足で歩いていたら、看護師長がすっ飛んできた。
「ミヤサカさん、早く靴を履いて! 病院は病原菌だらけですよ!」
そうかぁ。病棟の廊下はピカピカに磨き上げられて、わが家の廊下よりきれいそうだけど…
師長さん、ご心配には及ばねぇ。私はいつも栄養十分、睡眠十二分。病原菌をことごとく撃退する、屈強な免疫力があるだよ。
コロナ禍のせいかそれ以前からか、医療従事者は異常に(?)潔癖だ。
消毒液ボトルを腰にぶら下げて、ワンアクションごとに手指消毒。
それに加えて、病室に入る時は使い捨てゴム手袋を着用。
ビニール製エプロンも、着用。
そしてゴム手袋とエプロンは、患者さんひとりをケアしたら、即廃棄。
マスクとゴーグルも着用。
仰々しいったらありゃしない。
そこまで患者さんをばい菌扱いしなくてもいいのに、思う。
それに、病院がばい菌の巣窟というなら、いちばん患者さんの近くにいて、日々危険と隣り合わせ(?)の看護助手の時給907円は、安すぎやしないか?
別にいいんですけど。
労働運動や人権に詳しい斎藤幸平・東京大学准教授は、韓国にも抜かれ、主要7カ国(G7)でもイタリアに次いで安い日本人の平均賃金は「人権問題」だ、と言っている(以下、日経ビジネス電子版より要約)。
・2009年から19年の10年間で、日本企業は売り上げはほとんど伸びていないのに、利益は5倍に増大した。つまりこの間、企業は「コスト削減」しかやっていない
・徹底的にコストダウンを推し進めた結果が、社員の給与が上がらないといった問題、各種ハラスメントのほか、外国人技能実習生や外国人労働者の問題につながっている
・海外では、児童労働や強制労働を助長する結果に
・この間に企業の株価は上がったが、利益が5倍に増えているのだから上がるのは当たり前。全体の富が増えない中で、弱者から強者へ富が移動しただけ
・企業は利益を求めコストカットし、生活の苦しい消費者は安い商品を求めるという負のスパイラルによって、労働者の暮らしや地球環境が犠牲になっている。これが豊かな日本の現実
いっとき、医療従事者や宅配便ドライバーが「エッセンシャルワーカー」ともてはやされた。そういった職業ほど、特に給料が安い。
看護師さんだって、盆暮れ正月も関係なく働き、夜勤も多い過酷な労働環境を考えれば、もっともらってもいい。
ハワイで看護師になった知人は、年収1000万円だという。
Matsumoto Japan, Winter 2022 |
0 件のコメント:
コメントを投稿