蓼科の家は、マイナス10度を下回る日が続いている。
数日家を空けて夕方帰宅すると、いつもキッチンや洗面所の水が出ない、トイレは流れないという事態に。また水道管が凍ったか…泣きたくなる。
生存のため?留守中も含め24時間、床暖房は入れっぱなし、蛇口の水も出しっぱなしにした。給料の大半が、電気代・水道代・灯油代へと消えていく。
戦力の逐次投入こそ、先の大戦での日本の敗因だ。局面を打開するため、ここで一大決戦を企図! 凍結防止ヒーターの巻き替え工事を依頼した。
工事中は水が使えないので旅に出たら、追いかけるように電話がかかって来た。「水道管そのものが老朽化している。交換が必要です」。工事費用は一気に2倍以上、工期も延びて、近くのホテルから出勤する羽目に。がーん。
やっと帰宅が許され、水回りの試運転に立ち会う。施工担当者は、洗面所の赤い歯ブラシや女性用トリートメントを見て「?」という顔をしていた。
配偶者と死別して1年余、独身という立場にまだ慣れない。人口動態に詳しいニッセイ基礎研究所の天野馨南子さんは「結婚は個人の自由だが、シングルを選択する場合には、少子化によって起きる事態への覚悟が必要」という。
独身者には、覚悟が必要?
日経ビジネス電子版に載ったインタビュー記事によると、
・日本の全世帯に占める単身(シングル)世帯の割合は38%。配偶者との死別や離別で単身となる人が増えた上に、あえて「おひとり様」人生を選ぶ若い人も増えている→高齢化と未婚化で、シングル世帯が急増
・『50歳未婚率』(50歳までに一度も結婚しない人の割合)も男性25.8%、女性16.4%で、過去最高を記録
・18歳以上34歳未満の独身者で『いずれは結婚しよう』と考える人の割合は、男性85.7%、女性89.3%。結婚を希望する傾向は変わっていないが、それがかなわない社会になったということ
・20代から40代の未婚者の6~7割が親族と同居している→50代前後で両親と死別→女性は男性より長生きする可能性が高く、高齢女性の貧困問題が顕在化してきている
・金融庁の試算で話題になった『老後2000万円問題』は、夫婦のモデル。一人暮らしはスケールメリットが働かないので、老後の備えはそれ以上に必要
・日本は世界でトップレベルの治安と公共インフラを持つ平和な国だからこそ、一人でも暮らせる。しかし治安・インフラの根源は税金であり、その税金を支払うのは人口(納税者)
・日本は先進国でも最速の少子化によって、将来の納税者が激減している。その社会で長生きすることのリスクを認識してほしい
・フランスの「家族税制」では、子供の数が多いほど税負担が緩和される→結婚も子どもを持つことも自由なこの時代に、あえて次世代を育む選択を決意・実行した人々への応援メッセージになっている
「ひとり暮らしはスケールメリットが働かない」。今回、それは身に染みた。