朝、自然学校に出勤すると、バルコニーに鳥の巣が。
それも、お客さん用ドリンクが入った冷蔵庫のすぐ隣に…
中を覗けば、小さな卵が5つ収まっている。
この大胆不敵、かつ傍若無人な輩は、いったい誰だろう。
鳥の種類で私がわかるのは、ハト、カラス、ニワトリ(=焼き鳥)ぐらい。「よくそれで自然学校職員が務まるね」と言われそうだが、それは採用する側の責任。
先輩スタッフに聞くと、キセキレイという鳥の巣だそうだ。
さっきから、しっぽが長くて黄色い小さな鳥が、地面を走り回りながら、こちらを伺っている。
母キセキレイだ。
我々スタッフが室内に引っ込むと、すかさず巣に戻って、一生懸命タマゴを温め始めた。スマホで調べたら、キセキレイはとても警戒心が強いとある。
ではなぜ、バルコニーのテーブルの上に巣を…?
人の往来があった方がかえって安全、とツバメ並みの知性を働かせた? でもここは、普段はほとんど人けがなく、逆にオリエンテーリングがある日だけ、200人もの小中学生が集まって、ものすごい騒ぎになる。
この母キセキレイは、大胆不敵というより、かなりのおっちょこちょいだ。
それでも彼女は、我々人間の隙を縫って卵を温め続けた。そして先日、ついに5羽の雛がかえった。見上げた根性だ。
あとは、ひたすら巣立ちの日を待つのみ。
キセキレイ。
ひとつ、焼き鳥以外のトリを覚えたぞ。
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