森の中にある自宅から、さらに森の奥にある職場へ。
山道をクルマで4キロ、所要時間は8分ほどだ。
とても恵まれた通勤環境だが、森の管理という仕事なので、さすがに在宅ワークはできない。
スーパーへ食料を買いに行くときは、同じ道を反対方向に13キロほど下っていく。
東京を離れてから、クルマが必需品、というより生命線になった。
国全体を見渡しても、日本人は車離れしていないという。
日経ビジネス電子版で読んだ、柳瀬博一・東京工業大学教授と、ファンドマネージャー・藤野英人氏の対談が面白かったので、一部を紹介します。
・メディアは「若者の自動車離れ」を伝えるが、実際の日本の自動車保有台数は、これまでずっと右肩上がり
・1世帯当たり自家用車保有台数がもっとも少ないのは東京。自動車離れは、東京の人が抱くイメージ。都心で働く政治家、官僚、企業トップ、マスメディアの人たちは、かなり偏った世界で暮らしている
・鉄道が充実した大都市圏に住む人は4000万人。残り8000万人の日本人は、自動車があったほうが便利、あるいは、ないと不便な世界で暮らしている
・新型コロナウイルスの感染拡大で、インターネットで大半の仕事ができる人が都心部から郊外に移住し、「新モータリゼーション」が起きている
・Facebookのグループ「ゲコノミスト(お酒を飲まない生き方を楽しむ会)」では、最近になって飲まなくなった人、つまり「飲めるけど飲まない人」が増えている
・「飲まない」という選択肢を取るのは、若者とリタイア世代、高齢者。若者が酒を飲まない理由は、タテ社会が嫌いだから。そして郊外に引っ越して車に乗る機会が増え、飲む機会が減った人たち
・鉄道を使う従来の通勤の仕組みと飲酒カルチャー、そして上下関係は相性がいい。飲むという行為は、電車文化だから成立する。自動車社会は、酔っぱらえない
・藤野が経営する会社で社員の在宅ワークを強化したら、有給休暇の消化率が下がってしまった。通勤でムダな体力を消耗しなくなり、病気になる人が減ったのも一因
Seikoji, Tateshina Japan, April 2021 |