ミヒャエル・エンデの名作「モモ」の中で、こんな文章に出会った。
すっかり大金持ちになり、有名にもなったジジが、わが身を振り返る場面。
「モモ、ひとつだけきみに言っておくけどね、人生でいちばん危険なことは、かなえられるはずのない夢が、かなえられてしまうことなんだよ」
(大島かおり訳 岩波少年文庫版より)
野球。フットボール。バスケットボール。アメリカのプロスポーツ選手は、法外な報酬をもらう。NBAトップ選手の年俸は、40億円以上。
その一方で、元NBA選手の6割が、引退後5年以内に自己破産するという。
これもアメリカの話だが、宝くじで10万ドル以上当たった人の7割が、その後自己破産を申請しているという。
「宝くじで1億円当たった人の末路」(鈴木信行著 日経BP)によると、宝くじで高額当選した人が陥る不幸には、決まったパターンがある。
・親族トラブルが続発する
・浪費が過ぎて、宝くじに当たる前より貧困になる
・仕事(人生)にやる気がなくなる
そして、宝くじで1億円当たった時の心得も、次の3つ。
・今の生活を変えない
・仕事を辞めてはいけない
・人との付き合い方を変えてはいけない
当たり前のことのようで、「言うは易し…」なのだろう。
宝くじで1等が当たっても、必ずしも幸せになれるとは限らない。
むしろ、不幸になることの方が多い。
でも大丈夫。
「年末ジャンボ宝くじ」で1等が当たる確率は、交通事故で死ぬ確率の300分の1以下。
夢は、夢のままで終わってくれるのだ。
新聞社にいた頃、「年末ジャンボ宝くじ」の発売日を取材した。
東京・有楽町の宝くじ売り場は、その名も「チャンスセンター」。寒風吹き付ける中、他のブースはガラガラなのに、以前1等賞が出たブースだけに、長蛇の列ができていた。
私の直感では、もう1等が出てしまったブースには、当分同じことは起こらない気がする。
数字には弱いので、統計学的にどうなのか、わからないですが…
Minami-Izu Japan, January 2021 |
0 件のコメント:
コメントを投稿