夏休みの親子連れでにぎわう、とある信州湖畔の宿。
朝、無心で廊下を掃除していたら、よれたTシャツを着たメタボおじさんの足が・・・ただブラブラと歩いている。
(掃除の邪魔だあ。早く出発してくれないかな)
そしてその日の清掃を終えて、若き支配人のたまちゃんから衝撃の事実が。
「あの人、オックスフォード大学の教授らしいですよ」
「エーッ」
「本人は『別に有名でも何でもない』って言ってたけど」
たまちゃんがもらった名刺でググったら、ホントにオックスフォード大公式HPに写真入りで紹介されている。リウマチ研究の専門家、とある。
ガーガーと掃除機で追い立てたりしなくてよかった・・・
お盆などの繁忙期に、ここの客室係をさせて頂いて3シーズンめ。
この宿、普通のホテルと違い、「ホステル」や「ゲストハウス」と呼ばれている。個室もあるが、2段ベッドの相部屋もある。大きなダイニングと共同キッチンを備え、自炊ができる。宿泊料は、地域で1,2を争う安さ。
ユニークな宿ゆえ、お客さんも実に様々だ。
先日は初老のスペイン人男性が、外国ナンバーの大型バイクでやってきた。ユーラシア大陸を横断して、はるばる日本まで走ってきたのだろうか。
ヤクザ風のこわもて男性が帰り際、黙って宿の周りの雑草を刈っていってくれたりもする。
フィリピン女性10数人を引き連れて泊まりに来る、謎の日本男子も。
また、某大学「星空研究会」の合宿地にもなっている。彼らはいつも未明に戻ってきて、昼間はひたすら寝ている。
チェックアウト時間が過ぎて、誰もいない女子トイレを掃除していたら、寝ぼけ眼の「星空」女子が入ってきて焦った。
宿では旅人のために、朝食を無料で提供している。でも時おり想定外のことが起き、私が9時ごろ出勤すると、支配人がゲッソリしている。
「あの人、ひとりでソーセージ20本食べたんですよ!」
「子連れの一家が、お米を5合も食べて・・・ごはん炊き直しました」
「自転車ツーリングの外国人に、スクランブルエッグ3キロ食べられた~」
助っ人客室係は盛夏の高原で、布団の上げ下ろしにいい汗をかく。
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