「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話」
塾講師(坪田信貴)が本に書き、有村架純の主演で映画化もされた。
先日、その「ビリギャル」本人が、なんと家から自転車で10分の市民ホールに現れた。先生目線でない、当事者自身の話を聞くことができた。
主人公「ビリギャル」こと小林さやかさん、30歳。会社勤めの後、フリーのウェディングプランナーに。社会人3年目に「ビリギャル」が出てから、講演依頼が殺到。いまは年100回の講演で、全国を飛びまわる日々だという。
「元ギャル」らしさの演出か、講演はタメ口混じり。隣のお姉さん風でいて、話術は巧み。実質70分の講演が、あっという間だった。
開口一番、「ビリギャル」の本当の主人公は、実は彼女が「あーちゃん」と呼ぶ彼女の母親だ、と言った。
・母は、ビリギャルの私、高校中退でヤンキーの弟、不登校の妹、きょうだい3人をいつでも肯定した。相づち・うなずき・繰り返し。家事を全て中断して、私の話を聞いてくれた
・中学時代、タバコで学校に呼び出されても叱られなかった。母はむしろ、「子どもを信じていることを見せる絶好のチャンス」と考えていたようだ
・母の望みは、「ワクワクすることを自分の力で見つけられる子になって欲しい」ということ
・私は自分のためだけにはがんばれない。1日15時間勉強できたのは、「あなたが笑顔でいてくれるだけで私は幸せ」と言って何も求めない母のため
・人間は感情の生きもの。心が揺さぶられないと、大きな努力はできない➡「好き」「ワクワク」がいちばんの原動力。ワクワクする目標を自分で設定するには、親子でどうでもいい会話をたくさんすること
・不登校だった妹は、私の姿を見て「もっとラクして東京の大学に行きたい」。自らニュージーランドの高校に進学し、帰国子女枠で上智大に合格した
・最近ニューヨークに行った。受験勉強で英語の偏差値を28から72にしたのに、英語が話せなかった。これが日本の教育の現実
彼女が合格したのは慶大、それもSFC総合政策学部。主な受験科目は小論文で、暗記力より思考力が試される。当意即妙な彼女の講演からは、かなり小さい頃から、自分なりの考えを持って生きてきたことが伺えた。
卒業後、彼女は北海道の高校に「押しかけインターン」に行った。先生でも生徒でも親でも子でもない立場から、学校を見た。生徒への影響力がとても大きい教師たちが、実は社会とつながっていないと感じた。
だから最近、彼女自ら「面白い大人と学生をつなぐ場」を作った。
この積極性。慶大合格は、ビリギャルのその後の人生を、間違いなく大きく変えたといえる。
会場を見渡すと、聴衆は40歳前後の子育て世代の女性が目立った。
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