2018年6月2日

マーケットと子どもは・・・ままならない


 新幹線通勤のお母さんから、駅でYくんを受け取る。

 手を振ってお母さんを見送り、Yくんとローカル線に乗って保育園へ。

 道中、自転車の前と後ろに子どもを乗せて、ものすごい形相でペダルをこぐ女性を見かけた。

 2歳のYくんもまた、大人の都合につき合ってばかりだろう。今日はマイペースで歩いてもらおう。手をつなぐのをやめて、彼の後ろから見守った。

 好奇心いっぱいのYくん、あちこちで引っかかる。駅のコインロッカーを開けたり、売店のおもちゃをいじったり、マンホールの穴をのぞいたり。

「これなあに?」「これなあに?」と1分おきに連発しながら右往左往。

 このランダムな動き、何かに似ている。

そうだ! 株価のチャートだ。

 投資家として、長くマーケットに翻弄されてきた。だから予測できない物事には慣れている。ゆらりゆらりと、Yくんの後をついて歩いた。



 一見でたらめな株価の動きも、長い目で見れば法則がある。まともに経営されている会社なら、上下動を繰り返しながら、少しずつ少しずつ値を上げていく。

 ランダムなYくんの動きにも・・・法則が見えた。少しずつ少しずつ、保育園から遠ざかっていくようだ。

 保育園よりお母さんの近くにいたいんだね。

 これじゃ永遠に着きそうにないな。



 夕方、今度は小1のEくんを水泳教室から自宅まで送る。まだ5時前なのに、お父さんが玄関に出迎えた。たしか彼も、新幹線で東京まで通勤しているはず。

「妻が出張で遅くなるので、上司に話して早退しました」

 なんていい職場なんだ。

 会社がワークライフバランスを取り入れたのはごく最近、「高橋まつりさん過労自殺」の後だという。



 最近ある母さんに、ファミリーサポートを引き受ける私のような存在は「最後の砦」だと言われた。この私が「最後の砦」? 現代の子育てに、もう少しゆとりができるといいのだが。



 自由の味を覚えたYくんは、今日も我が道を行く。

 でも保育園と逆方向に行かないよう、しっかり手をつないで誘導する。

 Yくん、自由を楽しむのはまだ早いぞ。おじさんだって、こうして君と徘徊する時間ができるまで半世紀かかったんだ。

 お願いだから、まっすぐ保育園に行ってください。



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