2018年3月10日

ハレクラニ


 ハイシーズンのハワイは、生存競争が激しい。

出張で突然、着の身着のままハワイに送り込まれた時は、ホテルの確保に苦労した。空室を見つけても1~2泊で追い出される。

見かねた当時のロス支局長が、「ハレクラニ」という妙な名前のホテルを取ってくれた。ほんの数泊のつもりが、仕事が終わらず、本社から交代要員も来ない。

帰国後、私がその「ハレなんとか」に20泊したと聞いた妻の友人が腰を抜かした。「一度は泊まりたい」名門ホテルだったみたいだ。

「モアナ・サーフライダー」や「ロイヤル・ハワイアン」などハワイの一流ホテルは、建物は重厚でも客はサンダルに短パン。客でもないのにマックやスタバからテイクアウトして、勝手にプールサイドでくつろいでもいい。

 その中で、奥まった所にある「ハレなんとか」は別格の優雅さがあった。

 いずれにしても、リゾートホテルは愛する人と泊まってナンボ。男ひとりで泊まるものではない。

今回はキッチン付アパートで、住んだ気になって滞在してみた。自腹のハワイは、物価の高さが堪えた。

土砂降りの雨の中、30分待っても来ない市バスが2.75ドル(300円)。2週間前にベトナムの田舎で乗ったタクシーは、初乗り25円だった。

 比較の対象が間違っている気もするが。

レストランのランチに20ドル取られる。その割にサービスはいい加減。注文したアサイーボウルが来ない。店員に言うと、「Yeah, it should be」と返事だけで何もしない。

やっとありついてみると、激しく甘かった。ひと月分の砂糖を1回で摂取した。いくらスーパーフードでも、毎日食べたら病気になる。

レストランで会計すると、請求書に「チップは総額の22%を推奨します」。

ベトナムが恋しい。

結局、Whole Foods Down to Earth などのスーパーで量り売りの総菜を買ったり(450グラムが9ドル)、近所でアヒポケボウル(ハワイ式マグロ玄米丼)を買って部屋で食べた。健康的でおいしく、心が休まった。

宿の近くに「丸亀製麺」がある。観光客や地元の人など、昼夜を問わず100人近い行列ができていた。UDON一杯5ドルが人気の秘密だ。デフレニッポンの圧倒的な価格競争力。

ちなみに日本では取り放題の揚げ玉や刻みネギが、こちらでは厨房の奥にしまわれている。セルフサービスにすると、あり得ないほどごっそり盛っていかれるらしい。

唯一安く感じたのは、レンタカーを借りた時のガソリン代だけ。おおむね運転マナーはいいが、南国らしからぬせっかちな車も見かけた。

長年抱いていた「楽園」のイメージが、日に日に修正されていく。

組織に守られてハレクラニに泊まっていては、決して現実は見えない。



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