「私の投信がひどいことに・・・ちょっと見て頂けますか?」
共働きの友人、Tさんの悲鳴が聞こえた。
世界の株式市場が好調で、投資家の多くは笑顔なはず。不思議に思って、Tさんの口座を見せてもらった。
保有するほとんどの投資信託が値上がりしている中、2年で87%も下落しているものがあった。その名は「日本株3.7ベア」。
この投信、日本株が値下がりすると、その下落率の3.7倍のスピードで値上がりするよう設計されている。株が下がると確信した時に買うファンドだ。
予想に反して株が値上がりすると、その3.7倍のスピードで落ちていく。
相場が動かなくても、保有しているだけでジリジリと値下がりする。およそ長期保有に向かない投信なのである。
Tさんは、普通の日本株ファンドと勘違いしていたようだ。
「北朝鮮の有事→日本株暴落」シナリオで持ち続け、一発逆転を狙うのもひとつの手。でもやっぱり売却をお勧めした。投資額が少なくてよかった。
強気相場はブル(牡牛)マーケット、弱気相場はベア(熊)マーケットと呼ばれる。元本にレバレッジがかかって値動きが増幅する「ブルベア型投信」には、くれぐれも用心したい。
Tさんは、NISA口座を日本株アクティブ型1、日本株インデックス型2、外国株インデックス型2、新興国インデックス型1、外国債券インデックス型1、国内外バランス型3、そして例の日本株ベア型、計11本の投信で運用している。
ざっと計算すると、日本株39%、先進国株21%、新興国株7%、外国債券25%、REIT(国内外)8%の配分になる。
全体の6割以上を株式が占める、積極的なポートフォリオは好感が持てる。
アドバイスがあるとしたら、バランス型投信の代わりに、株・債券・REITのインデックス投信を個別に買った方がコストは下がる。バランス投信に支払う年0.5~1%の手数料を、0.2%程度まで下げられるはずだ。
また、余裕資金が多いなら、債券部分を課税口座で運用し、NISA枠は全額株式で運用した方が、値上がり時の実質リターンが高くなる。
トランプ大統領が、「法人税減税」というクリスマスプレゼントをくれた。アメリカが引っ張る形で、株高はもう少し続くかも知れない。
それでも、世界の株式はすでに相当値上がりしている。5年というNISAの期限内に利益を出せるか、今後はわからない。
その点、来年から始まる「つみたてNISA」は、投資期間が20年と長い。ブルベア型投信のような危険な商品も含まれないので安心だ。
ランダムな株価の上下に一喜一憂するのは、感情の無駄遣いだ。買った投信を放置できるTさんの性格は、長期の資産形成に向いていると思った。いつも感じるが、投資に関しては女性の方が積極的だ。
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