2017年2月17日

クアラルンプール点描


 クアラルンプール中心にそびえるペトロナス・ツインタワー、452メートル。その足下をアリになった気分でジョギングする。

 毎朝すれ違う中国系の女性は、タンクトップと短パンから出た色白の手足全身に、花柄のタトゥーを入れている。

今回、タイとマレーシアで多くのタトゥーを見た。欧米からの旅行者はもちろん、ホテルやレストランで接する現地スタッフの、二の腕やふくらはぎからもタトゥーがのぞく。

世界はどうやら、そういうことになっている。

日本の温泉には「入れ墨お断り」の貼り紙。今や、カナダの首相もタトゥーをしている。カナダの首相は日本の温泉に入れないのだろうか。

マレー系の女性たちは頭からショールを被り、長袖長ズボンでジョギング。イスラム教の習慣とはいえ、この常夏の地では暑そうだ。タンクトップの中国系を横目に、黙々と走っている。

インド系は人によって肌を出したり、隠したり。この国はマレー系が人口の65%、中国系25%、インド系が10%を占める多民族国家だ。

それぞれ家ではマレー語や広東語、タミル語などを話す。いちおう、公用語は英語。でも見ていると、同じマレーシア人同士、まったく会話がかみ合っていないことがある。

それでもこの国は回っている。

白昼のKLセントラルで道に迷った。商業ビル入り口で、のけぞって爆睡していたガードマン氏。声を掛けると「オレ知らない」。5分後に同じ場所を通ると、彼は再び熟睡していた。

寝て給料がもらえるなら、私は彼になりたい。

もし自分が雇用主だったら、彼には給料をあげたくない。

マレー系中国系インド系に欧米人も含め、道行く人はよく太っている。99キロまでの体重計が、簡単に振り切れそう。メタボ健診を気にする日本人などかわいいもの。これも世界の趨勢か。

これでは、国際線の機内がますます窮屈になる。

サラリーマン時代、東南アジアや南西アジアでの仕事が多かったが、最後の海外出張はアメリカだった。帰りのワシントンDC発成田行は、所要14時間。満席に近いエコノミークラスで、幸い私の隣は空席だ。

やがて出発時刻。ドアクローズのアナウンスで快哉を叫んだ矢先、最後の客が滑り込みで乗ってきた。

マイケル・ムーア監督みたいな、太った白人男性。片手にマックのフライドポテト(ジャンボサイズ)を抱えて、通路を進んでくる。

こっち来ないで。頼むから通り過ぎて。下を向いて八百万の神に祈った。

ドシドシドシ 飛行機の薄い床に穴を開けそうな足音が・・・真横で止まった。

(オーマイガーーーーーーッ)

「Hi!」「Hi!」

 顔で笑って心で泣いて。

これからこんな場面が増えそうな・・・予感がする。





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