生活保護世帯の小中学生を教えていた数年前、その塾の講師仲間は、学校の先生だった人が多かった。
「そんなやり方じゃダメ!」
子どもと接する時、彼らがまず「否定」から入るのが、とても気になった。
いま働いている自然学校でも、小中学生を引率する先生たちから「ダメ」という言葉をひんぱんに聞く。言い方も、かなり高圧的だったりする。
・現在の弟子は10人、以前は将棋教室を開催していたので、その生徒も含めると100人近くの子どもと接してきた
・子どもの才能をつぶさないために気をつけていることは、「否定をしない」こと。将棋の指し方は、弟子の人生観にも関わる。必ず一手や二手は“いい手”があるから、まずそこを褒める
・そして褒めた後に「ここでは自分ならこうするかな」と、否定ではない表現で指導する
・「がんばれ」という言葉も、あまり言わないようにしている。これは弟子だけでなく、自分の子どもに対しても同じ
・学校、習いごと、SNSや友達との距離感……現代の子どもたちは、私たちが子どもの時代より多くのストレスを抱えている。大人が思っている以上に頑張っているはずで、少しの余裕もないほど気持ちが張り詰めている
・こちらが励ますつもりで口にした「がんばれ」という言葉で、かえってその気持ちが爆発してしまうことも起こり得る
・対局前も「がんばって勝て」とは言わない。「勝て」と言われて勝てたら苦労しないし、2人が対戦すればどちらか1人は負け、全員が勝つことはできない
・「奨励会」は、26歳までにプロである四段に昇段できなければ退会となる。昇段するのは全体の2割で、ほとんどの人は棋士になれない、成功できない
・かといって「棋士になれないこと」が、「人生の失敗」ではない。負けて何かが手に入らなかったり、失ってしまったりすることはあっても、取り返せないような失敗や負けというものはないのではないか
・これは将棋に限らず、一般的な進学や就職など、人生の山場でも同じ
・大切なことは精一杯やる、力を出しきることだから、よく話すのは「いい内容にするように」ということ
・実力が互角なら、最後は強い気の人、前向きな気持ちの人が勝つ。技術(実力)はもちろん大事だが、自信がないとその先で技術がいかされない。だからなるべくいいところを見つけて、自信をもたせる
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| Babgkok Thailand, 2025 |

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