2023年4月6日

Z世代は不潔に強い…?

 

 R大学山岳部のヒマラヤ登山隊に、ひとりOBとして参加した。

 私の職場、S病院緩和ケア病棟は、余命宣告を受けた患者さんばかり。

だから、1922歳の超健康な8人と過ごした一か月は、とても新鮮だった。

 

 ネパールの首都カトマンズに着き、さっそく登山隊の宿を訪ねる。未明に別の飛行機で到着した彼らは、4つの2段ベッド以外は見事に何もない部屋で、ゴロゴロしていた。

 キンポン、マサ、ヨコ、DJモト、なっちゃん、マソラさん、あい先輩、ナナコちゃん。

 互いにファーストネームやニックネームで呼び合う、Z世代の男子4人、女子4人である。

それにしても、ずいぶんな安宿だ。トイレをのぞくと、便器のすぐ横にシャワーがあり、仕切りも何もない。

1泊500円だという。

エージェントとの打ち合わせや、固定ロープとガスボンベを買い揃えるため、カトマンズに3泊した。町は未舗装の砂利道に車とバイクがひしめき、1日歩くと体じゅう、ほこりと排ガスにまみれる。鼻の中は真っ黒だ。

宿に帰ったらすぐシャワーを浴びないと、気が狂いそうになった。

ところが…

「シャワーを使うと、トイレがビチョビチョになる」

 と言って、彼らは誰ひとり、シャワーを浴びようとしない。

 マジですか。

「去年の夏山合宿で2週間半、風呂に入らなくても平気だったので」

 というのが、彼らの言い分だが…

そんなこと、自信にしていいのだろうか。

 私はもう少しまともなホテルを予約して、毎晩シャワーにありついていた。彼らほどは、不潔に強くないので。

 その後、カトマンズからベースキャンプまでの1週間、泊まり歩いた山村の簡素な宿に、シャワーはなかった。登山中はもちろん、雪上のテント生活だ。

結局、日本を発ってから連続〇〇日間、彼らは風呂なしで過ごした。

それでも…

私は1日ヒゲを剃り忘れただけでむさ苦しくなるのに、彼らは何日たっても小ぎれいなまま。

慣らし運転を終えた新車のような、輝きを保っていた。


みなぎる生命力は、不潔をも隠す。

Ramdung Peak, Nepal


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