看護師さんは、白衣の天使。
看護助手を3日もやると、そんな幻想は木っ端みじんに粉砕される。
4階西病棟で、ベテラン看護師Sさんと一緒に入浴介助をした時のこと。
一人ひとりの入浴が終わる度に、シャワーベッドを洗剤で洗うのだが、感染性疾患の患者の場合は、さらにハイター消毒する。
ハイターは塩素系だ。目に入ると危険でさえある。だからハイター消毒した後、寝台を入念に水洗いした。そうしたら…
「そんなことしちゃ意味ないじゃないの!」
いきなり大目玉を食らった。
でも翌日ペアを組んだ看護師さんは、ハイター後は水洗いしろと言う。
「昨日の看護師さんは、洗っちゃダメだと…」
「人それぞれやり方があるから、その人に従って下さい」
また別の日の看護師さんは、私がベッドメイクしたばかりのシーツをいきなり引っぺがし、床に投げ捨てた。
「このベッドはシーツ交換いらないの!」
休憩を挟んで、午後の職場は5階にあるPCU(緩和ケア病棟)だった。ピリピリした雰囲気の4階西病棟と違い、PCUのナースステーションは、いつ行っても笑い声が絶えない。
「またヨンニシでいじめられました…」
私がつい愚痴をこぼすと、PCUの看護師さんたち、ゲラゲラ笑っている。
笑いごとじゃないっつーの!
・「この歳になっても給料が全然上がらない」(40代の看護師)。看護師の賃金は、若いうちは夜勤の分だけ相対的に高いが、40代で理学療法士や作業療法士、放射線技師に抜かれる
・国内の病院の7割は赤字経営。最新医療機器への設備投資などが重くなりがちで、賃上げの余裕はない
・「日勤で残業をして、その日の夜勤に入るような働き方だった。土日も盆も正月もなく、心身ともに疲れ果てた」。免許はあるが離職して現場を離れた「潜在看護師」が70万人いるが、その多くは所在不明で、連絡すら取れない
・看護師の約7割が、なんらかの健康不安を抱える。このままでは人命を預かる緊張と不規則な長時間労働の重圧に耐えきれず、影響が患者に及びかねない
日経ビジネス電子版のこの記事によると、看護師の離職率は年10%超。そして、潜在看護師の多くが「戻りたくない」と言っている、という。
ウチの病院では、PCUの看護師さんだけが笑顔。白衣の天使率が高い。
末期がん患者を優先的に受け入れ、積極的な治療をしないPCUは、看護師さんの精神衛生にいいのかも知れない。
いずれ受け持ち患者との死別が避けられない、としても…
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