2020年3月21日

読んでよし 包んでよし 拭いてよし


 家人にお使いを頼まれて向かった、郊外のマツモトキヨシ。

平日の昼下がりなのに、なぜか駐車場がクルマで溢れている。店内に入ると、レジの前には、見たこともない長蛇の列ができていた。

 特売日? ポイント10倍デー? それとも年金支給日?

 タイミング悪かったなあ、と思いながら、行列の最後に並んだ。

 何日かして、「新型肺炎でトイレットペーパーの売り切れ続出!」というニュースに触れ、初めて行列の訳がわかった。でも、意味がわからない。いつの間にか、近所のドラッグストア数軒からトイレットペーパーが消えている。



学生時代、1980年代の中国をヒッチハイクで旅した。途中で公衆トイレに入ると、壁もドアもなく、土に掘った穴が並んでいるだけ。人民服を着た人たちと、仲良くしゃがんで用を足した。

そして皆、トイレットペーパー代わりに新聞紙を使っていた。

そんな原体験があるので、

「トイレットペーパーがなくなったら、古新聞を使えばいいや」

 個人的には、あまり危機感がない。

 わが家はシンプルな水洗トイレだが、よそ様は「乾燥機能付きシャワートイレ」が標準のはず。現代ニッポンで、もはやトイレットペーパーは必需品ではないと思うのだが・・・



新聞の投書欄に70代男性が寄せた、こんな話を読んだ。

中学生になる彼の孫が、トイレットペーパーを買いに走った。数軒回ってやっと1パック手に入れた。その帰り道、ベビーカーを押したお母さんに「そのトイレットペーパー、どこで手に入れたの?」と聞かれた。

 これが最後の1パックだったと説明すると、とてもがっかりした様子。孫は、パックの包装を破り、トイレットペーパーを3つ、その場でお母さんに手渡した。

 わが孫ながら、あっぱれ! 投書は、そう締めくくられていた。私も一瞬、いい話だなあと思った。

 でも大王製紙など製紙工場は、平常通りに稼働しているという。皆がパニック買いに走らず、冷静に行動していれば、こんな騒動にならなかったはず。

前に勤めていた新聞社の先輩記者は、定年退職と同時にテレビを粗大ごみに出した。わが家もテレビはほとんど見ない。ネットのSNSは、チラッと見る。ヒマつぶしになるので、新聞は読む。

怪しげな情報が、日々量産されるこの時代。わが身を守るためには、「テレビを捨てる」ぐらいの英断が、必要なのかも。

でも新聞は・・・いろいろ使い道があるから、捨てない


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