2020年3月28日

山でテレワーク


4年前に手に入れた信州の家は、シカが遊ぶ森の中にある。

山道を下りて、信号のある最初の交差点まで11キロ。

最寄りのコンビニまで、クルマで20分かかる。

夏を過ごすために買ったこの家に、今年は春から通う。

ネットがあればどこでも暮らせる元祖テレワーカー、個人投資家の役得だ。



山の家暮らしに、クルマは必需品。今まで「レンタカー2か月借りっぱなし」でしのいできた。今回は、滞在が長くなりそう。

「いつもお借りするあのクルマ、売って下さい!」

ダメ元で、馴染みのレンタカー屋さんに言ってみた。

かなり面食らっていたが、気持ちよく譲ってくれた。

 晴れてマイカーになった車のトランクルームに、冬タイヤが4本積まれている。私の行き先を知る店長からの、プレゼントだった。



海に近い湘南のマンションから、山の家まで、クルマで3時間半。でも標高差が1600メートルあるので、気候がまったく違う。着いた翌朝、玄関の外はマイナス10度だった。

先週は、夜半に雪が降った。目覚めたら、辺り一面、雪景色。

相当な僻地ではあるが、一応は管理別荘地だ。電気・ガス・水道は通っている。携帯電話も、ドコモなら5本立つ。郵便物や新聞も届くし、宅配便のトラックも、スタッドレスタイヤで上がって来てくれる。

夏でも石油ストーブを焚くほど涼しいので、人の気配がするのは、避暑客が来るお盆の時だけ。でも今年は、凍てつく夜、いくつかの家に明かりが灯る。「新型コロナ」で、首都圏から避難してきたのかも。

清冽な空気が、今年はひと際、ありがたい。ちょっと寒いけど。



家の蛇口から出るのは、山の水。インスタントコーヒーが、魔法のように?ドリップコーヒーの味わいになる。



この辺り、高度成長からバブル期にかけて、「別荘」に憧れた昭和世代が、競って家を建てた。彼らも寄る年波には勝てず。最近、売り物件が目立つ。

20年のこの家は、軽自動車3台分のお金で買えた。でももっと安い物件が、周囲に何軒もある。

そんなに人気ないのかなあ。

気候変動による都会の猛暑。北朝鮮のミサイル。そしてコロナ・ウイルス・・・

日々、「この家があってよかった~」と思うのだが。

家の周りを1時間散歩して、出会うのはシカだけ。「外出制限」などないし、出かけるのにマスクもいらない。

どなたか、お隣さんになりませんか? 仕事をテレワークに切り替えて。



2020年3月21日

読んでよし 包んでよし 拭いてよし


 家人にお使いを頼まれて向かった、郊外のマツモトキヨシ。

平日の昼下がりなのに、なぜか駐車場がクルマで溢れている。店内に入ると、レジの前には、見たこともない長蛇の列ができていた。

 特売日? ポイント10倍デー? それとも年金支給日?

 タイミング悪かったなあ、と思いながら、行列の最後に並んだ。

 何日かして、「新型肺炎でトイレットペーパーの売り切れ続出!」というニュースに触れ、初めて行列の訳がわかった。でも、意味がわからない。いつの間にか、近所のドラッグストア数軒からトイレットペーパーが消えている。



学生時代、1980年代の中国をヒッチハイクで旅した。途中で公衆トイレに入ると、壁もドアもなく、土に掘った穴が並んでいるだけ。人民服を着た人たちと、仲良くしゃがんで用を足した。

そして皆、トイレットペーパー代わりに新聞紙を使っていた。

そんな原体験があるので、

「トイレットペーパーがなくなったら、古新聞を使えばいいや」

 個人的には、あまり危機感がない。

 わが家はシンプルな水洗トイレだが、よそ様は「乾燥機能付きシャワートイレ」が標準のはず。現代ニッポンで、もはやトイレットペーパーは必需品ではないと思うのだが・・・



新聞の投書欄に70代男性が寄せた、こんな話を読んだ。

中学生になる彼の孫が、トイレットペーパーを買いに走った。数軒回ってやっと1パック手に入れた。その帰り道、ベビーカーを押したお母さんに「そのトイレットペーパー、どこで手に入れたの?」と聞かれた。

 これが最後の1パックだったと説明すると、とてもがっかりした様子。孫は、パックの包装を破り、トイレットペーパーを3つ、その場でお母さんに手渡した。

 わが孫ながら、あっぱれ! 投書は、そう締めくくられていた。私も一瞬、いい話だなあと思った。

 でも大王製紙など製紙工場は、平常通りに稼働しているという。皆がパニック買いに走らず、冷静に行動していれば、こんな騒動にならなかったはず。

前に勤めていた新聞社の先輩記者は、定年退職と同時にテレビを粗大ごみに出した。わが家もテレビはほとんど見ない。ネットのSNSは、チラッと見る。ヒマつぶしになるので、新聞は読む。

怪しげな情報が、日々量産されるこの時代。わが身を守るためには、「テレビを捨てる」ぐらいの英断が、必要なのかも。

でも新聞は・・・いろいろ使い道があるから、捨てない


2020年3月14日

スカイプの向こう側


 うつろな眼差し。

ろれつの回らない話し方。

 オンライン英会話125人目。H先生の挙動が、かなりおかしい。

 Skypeで対面するフィリピン人の先生は、プロフィール写真より太っていることが多い。でも彼女は病的にやせていて、とても老けて見えた。まだ20代のはずなのに。

 たぶん・・・薬物中毒者だ。

 ラリッている先生を正気に戻そうと、懸命に話しかけ、下手なジョークで笑わせようとした。レッスンが終わるころ、顔に生気が戻った。笑顔も出た。

 いったい自分は何をやってんだか。授業料まで払って。



 そのレッスンを受けたのは、八ヶ岳山麓のWi-Fiスポット。隣で地元のおばちゃんが、のんびりテレビでサスペンスものを見ていた。

そこに突然現れた、見慣れぬ中年男。やにわにタブレット端末を取り出して、画面に話しかけ始めた。妙な外国の言葉で・・・

ギョッとした顔で、私を見つめたおばちゃん。テレビを消して、そそくさと出て行ってしまった。

昼下がりの平穏をかき乱して、ごめんなさい。



「ひと頃、この町は麻薬中毒者だらけで、子どもの誘拐や、女性へのレイプが頻発していた。それが今じゃ、フィリピンでも一番安全な町に。ドゥテルテ大統領は偉大だよ」

大統領の地元、ミンダナオ島ダバオのジェサ先生が言う。

「麻薬犯罪者は殺せ」

ドゥテルテ大統領の過激な号令のもと、警官に射殺された麻薬密売人は、5000人以上とも言われる。

「日本は犯罪者を死刑にできるからいいよね。フィリピンはカトリック教国だからできないんだ。人権も大事だけど、凶悪犯罪を防ぐためには、死刑も必要だと思う」(ジェサ先生)

 同じミンダナオ島でも、別の町に住む先生は、「女性の一人歩きは危険だから、日が暮れたらもっぱら自宅でネットサーフィンしている」と言っていた。



「すぐ近くの火山が毎年噴火するし、地震も多い。子どもと一緒に家にいても、安心できないよ」と話す、ルソン島南部の先生がいた。

大型台風による休講や、停電による突然のレッスン中断も経験した。

 彼らフィリピン人の暮らしは、それなりに大変みたいだ。



2020年3月6日

「社会に出る前に遊んでおけよ」


 このイラスト・・・似てますか?


 いろいろな特技を持つ人が、その得意技を売ることができるオンライン市場、「ココナラ」。

数年前、ココナラ経由でマンガ家志望の女性に写真を送り、似顔絵を描いてもらった。

南章行・ココナラ社長は、高校生と中学生の父親でもある。自分の子どもにも、ひたすら「得意を生かせ!」「得意を生かせ!」と叫んでいるらしい。

 日経ビジネス電子版の記事から、彼のことばを3つ紹介します。



 「社会に出る前にたくさん遊んでおけよ」と助言する大人の言うことは聞かなくていい

社会に出て働くことをネガティブにとらえるということは、つまらない生き方をしている証拠。親は「幸せに生きるとはどういうことか」と突き詰めて考え、それを自ら実践して、自分自身がハッピーに生きていないといけない。

自分を幸せにできない人が、わが子を幸せにできるとは思えない。

「強み」の反対語は「弱み」ではなく「消耗」

強みとは「できること」ではなくて、「やっていて、わくわくできて、自然とエネルギーが湧いてくること」。才能やスキルを指すのではなく、これをやるといつの間にか時間がたっていて、自分らしくなれて、成果も出ること。

だから、結果としてスキルが上がる。

それが「強み」だとしたら、その反対は「やるだけで疲れて、自分らしくいられなくて、成果も出ないこと」、つまり、消耗。

楽しく幸せに生きるために、強みを伸ばしてあげるのが、本来の教育の役割のはず。残念ながら日本の教育は、「不得意なことを指摘して標準化する」というのが基本姿勢になっている。

子育てって、要は「親が生きている通りに、子どもも生きる」というもの

「母親がごきげんに暮らすことが何よりもの教育になる」。南氏の妻は、43歳にしてトライアスロンを始めた。まったく泳げないのに。

こういう親を持つと、子はどうなるか。彼の長女は中学受験の面接で「将来は何になりたいですか」と聞かれて、答えた。

「将来何をするかは今は分からないです。分からないけれど、10年後、20年後、その時々の世の中に困り事はあるはずだから、それを解決できる仕事をしたいです」

・・・とても小学生の発言とは思えない。

そして高1の長男は、「1人で海外に行くのも平気で、この間もドバイ経由でマルタまで1カ月間の語学留学に行っていました」

・・・・・


肉食女子

わが母校は、伝統的に女子がキラキラ輝いて、男子が冴えない大学。 現在の山岳部も、 12 人の部員を束ねる主将は ナナコさんだ。 でも山岳部の場合、キャンパスを風を切って歩く「民放局アナ志望女子」たちとは、輝きっぷりが異なる。 今年大学を卒業して八ヶ岳の麓に就職したマソ...