4年前に手に入れた信州の家は、シカが遊ぶ森の中にある。
山道を下りて、信号のある最初の交差点まで11キロ。
最寄りのコンビニまで、クルマで20分かかる。
夏を過ごすために買ったこの家に、今年は春から通う。
ネットがあればどこでも暮らせる元祖テレワーカー、個人投資家の役得だ。
山の家暮らしに、クルマは必需品。今まで「レンタカー2か月借りっぱなし」でしのいできた。今回は、滞在が長くなりそう。
「いつもお借りするあのクルマ、売って下さい!」
ダメ元で、馴染みのレンタカー屋さんに言ってみた。
かなり面食らっていたが、気持ちよく譲ってくれた。
晴れてマイカーになった車のトランクルームに、冬タイヤが4本積まれている。私の行き先を知る店長からの、プレゼントだった。
晴れてマイカーになった車のトランクルームに、冬タイヤが4本積まれている。私の行き先を知る店長からの、プレゼントだった。
海に近い湘南のマンションから、山の家まで、クルマで3時間半。でも標高差が1600メートルあるので、気候がまったく違う。着いた翌朝、玄関の外はマイナス10度だった。
先週は、夜半に雪が降った。目覚めたら、辺り一面、雪景色。
相当な僻地ではあるが、一応は管理別荘地だ。電気・ガス・水道は通っている。携帯電話も、ドコモなら5本立つ。郵便物や新聞も届くし、宅配便のトラックも、スタッドレスタイヤで上がって来てくれる。
夏でも石油ストーブを焚くほど涼しいので、人の気配がするのは、避暑客が来るお盆の時だけ。でも今年は、凍てつく夜、いくつかの家に明かりが灯る。「新型コロナ」で、首都圏から避難してきたのかも。
清冽な空気が、今年はひと際、ありがたい。ちょっと寒いけど。
家の蛇口から出るのは、山の水。インスタントコーヒーが、魔法のように?ドリップコーヒーの味わいになる。
この辺り、高度成長からバブル期にかけて、「別荘」に憧れた昭和世代が、競って家を建てた。彼らも寄る年波には勝てず。最近、売り物件が目立つ。
築20年のこの家は、軽自動車3台分のお金で買えた。でももっと安い物件が、周囲に何軒もある。
そんなに人気ないのかなあ。
気候変動による都会の猛暑。北朝鮮のミサイル。そしてコロナ・ウイルス・・・
日々、「この家があってよかった~」と思うのだが。
家の周りを1時間散歩して、出会うのはシカだけ。「外出制限」などないし、出かけるのにマスクもいらない。
どなたか、お隣さんになりませんか? 仕事をテレワークに切り替えて。