2020年2月15日

ところ変われば人変わる


 あなたの国へは何度か行ったけど、土石流に埋まったレイテ島ギンサウゴン村と、ミンダナオ島のモロ民族解放戦線キャンプと、アロヨ大統領クーデター未遂の時の、マニラ軍司令部前しか知らない・・・

 そうオンライン英会話の先生に話すと、大げさにウケてくれる。フィリピン人は、サービス精神旺盛だ。

「私の国では、ジャーナリストは危険な職業。10年前の選挙では、何人も殺されたよ。政治家から賄賂をもらって、金額でもめて、殺し屋に消されるんだ。この国では新聞記者の給料が安いから、それも原因ね」

 オンライン英会話のフィリピン人講師は、女性は「以前は看護師、今は子育て中」という人が多い。「コールセンターで働いていた」という人は、男女を問わず多い。

「アメリカ本土の客が相手だから、時差の関係で、14年間夜勤だったよ」

まったく抑揚のない人工音声のような声で、無表情にレッスンする先生がいた。彼女も、コールセンター上がりだったかも知れない。

HSBCでクレジットカード詐欺の審査を担当していた」「家庭内暴力に取り組むソーシャルワーカーだった」「ドバイの日本料理レストランで4年間働いた」という人もいた。

「アマゾンにやらせレビューを投稿する作家だった」という人も。

高校で現代文学を教えていた先生は、

「公立校は予算がないから、教科書は先生用の一冊だけ。そういう環境で教えるのは、きつかった」

また、オンライン英会話と、別の仕事を掛け持ちしている人も多い。

「昼間は保育士」「本業は政府職員」「高校の英語教師」「マニラ近郊でドーナツ店を経営」「ネットカフェのオーナー」「セブ島のツアーガイド」等々。

「スポーツ心理学の学位を取って、セラピストをしているよ。顧客はプロゴルファーが多いね。ぼく自身、プロバスケットボール選手だった。ネグロス島の田舎で開業したけど、彼らとはSkypeでセッションするから大丈夫」

「勤めていた銀行を辞めて、エアラインへの転職を目指して就活中。でも客室乗務員の友だちは、火山の噴火で飛行機が飛ばず、自宅待機になっちゃった。意外にリスクがある仕事だね」

「特別支援学校で、7歳と10歳のHyperactive child(多動児)を教えてるよ。ここネグロス島でもAutistic(自閉症)が増えていて、対応がとても難しい。勉強して資格を取って、給料のいいアメリカの特別学校で働きたい」

 ある時、講師歴10数年のベテラン先生を予約したら、早口の英語で、問答無用でレッスン開始。雑談の糸口をまったく与えない。まるで、外資系企業の圧迫面接を受けている気分。

 でもほとんどの先生は、とても気さくで、雑談大好き。口々に「お金がない」といいながら、妙に明るい。

型にはまった生き方をしない、魅力的な人たちだ。


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