「死ぬ瞬間の5つの後悔」~The Top Five Regrets of the Dying~ 新潮社
著者ブロニー・ウェアはオーストラリアの女性。銀行などで働いたのち、家賃を浮かせるために住み込みの在宅介護ヘルパーになる。
「正しい手の洗い方と、移動介助のやり方の実演を見せられただけ」の研修を受けて、ブロニーは終末期の患者の家に派遣される。そして、たった一人で患者たちと向き合い、その最後を看取っていく。
「私はルース(患者)を自分の祖母と同じように扱っていた。それ以外のやり方を知らなかったのだ」
死を前にして、人は何を語るのか。ブロニーがベッドの脇に座って聞いた、5つの後悔の言葉。
1 自分に正直な人生を生きればよかった
「いい、ブロニー。死を迎えようとしている私に約束してちょうだい。どんな時も自分に正直でいること。他人に何を言われても自分の望み通りに生きる勇気を失わないことを」(横暴な夫との辛い結婚生活を送ったグレース)
2 働きすぎなければよかった
「私は怖かったのだ。怯えていた。ある意味、地位が私の価値を決めていた。こうして死を控えてここに座っている今は、良い人間でいることだけで、人生には十分以上だと思っている。我々はなぜ、物質的な成功で自分の価値を計ろうとするのだろう」
「他人にどう思われるかなんて気にしなければよかったんだ。どうして死が迫ってくるまでわからなかったんだろうね」
3 思い切って自分の気持ちを伝えればよかった
「愛している人にはそれを伝えるべきよ。感謝しているというべきなのよ。相手がその率直な言葉を受け止めてくれなくても、期待とは違う反応をしても構わない。伝えたことが大事なんだから」
4 友人と連絡を取り続ければよかった
「日々の生活に流されないで。その人たちの居場所がわからなくならないようにして」「弱いところを見られるのを怖れないでね。私は自分のひどい姿を知られたくなくて、ずいぶんと時間を無駄にしてしまったから」
5 幸せをあきらめなければよかった
「今は1日1日を贈り物のように大切に感じるのよ。いつだって毎日は大切だったんだけど、こうして弱ってからは毎日の暮らしの中にどれだけたくさんのすばらしいことがあるかがわかるようになったのよ」
「人はみなたくさんのことを当たり前だと思いすぎている」
「いい人生だったよ・・・いい人生だった」(長男をベトナム戦争で、長女を交通事故で、次男を心の病で亡くし、愛妻も40代で病死したレニーの最後の言葉)
最期を迎えた人々が一番大切だと思うのは、愛する人をどれだけ幸せにできたか、自分は好きなことにどれだけの時間を費やせたかだ、と著者は書く。
これらの言葉を忘れないでいたい。でも自分は、絶対に何かを後悔しながら死ぬんだろうな、と思う。
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