英語教育に定評のある、短大のコミュニティカレッジに通い始めた。
いずれ、最貧国や紛争国で働いてみたい。そのためには、イギリスで開発学を修めた方がいい気がする。相当な英語力が必要だ。
千里の道も一歩より。まず、ネパールの外国人トレッカー(非英語圏の)と議論して、内容はともかく口数で上回ることと、イギリスの経済紙 The Economist が読めるようになることが当面の目標。
以前、この短大で日本語ボランティア養成講座を受けた。平日のキャンパスは18~20歳の女子だらけ。学生食堂も「女の園」になってしまい、ランチを食いっぱぐれた。今回は週末の講座を選んだ。
近くにコミュニティカレッジがないので、電車で1時間かけて通っている。大学で山登りばかりしていた私のような人間は、社会に出てから壁にぶち当たる。学びなおしの場が必要だ。もっとコミュニティカレッジを作って欲しい。
講師のグレッグは米東部ペンシルベニア出身。生徒は半導体部門のエンジニア、金融機関で働く女性、育休中のコンピュータ・プログラマー、孫の世話に忙しい女性ら計6人。
この少人数でディスカッションやプレゼンを回すので、密度が濃い。向上心の強い社会人とともに学び、違う人生にも触れることができる貴重な90分だ。
「タカシ、今週のトピックは何だい?」「トピックと言われても。毎日夜中まで働いてたし。まあそれがトピックです、先生」半導体業界はかなり景気がいい。
自宅で英語学習の参考にしているのは、上乃久子著「純ジャパニーズの迷わない英語勉強法」。上乃さんは私の友だちの友だちで、海外に住んだことも、留学経験もないのに、ニューヨークタイムズの記者をしている奇跡の人だ。
その教えにならって、毎日ディクテーションを始めた。でもいちばん見習うべきなのは、「絶対に話す」「絶対に聞き取る」という彼女の姿勢だろう。
随所にちりばめられたコラムで、瀬戸内の小さな町で生まれた上乃さんが、いかにしてNYタイムズ記者になったかが明かされる。私に向かって「帰国子女なのになぜ何語も話せない」と、不都合な真実を突きつけてくる本だ。
そこは割り切って、偉い人の自伝として読むことにした。
以前、仕事で何度かアフガニスタンに行った。通訳兼運転手をしてくれた地元の青年ジャワットは、滑舌のいいイギリス英語を話した。彼の前では多くのイギリス人(たとえばベッカム)がひれ伏すに違いない。
ある時彼から、BBCラジオを聴きながら独学で英語を覚えたと聞いた。
上乃さんもジャワットも、恐るべき意志力の持ち主だ。
語学学習は、記憶力と柔軟性がある人生の早い時期に、いかにその大切さに気づけるかだとつくづく思う。
でも今からでも遅くはない。
今からでも遅くはない、と自分に言い聞かせている。