2016年7月18日

2地域居住は紆余曲折


 家から5分の森に、キツネの親子が住んでいる。

「ウォン、ウォン」と吠えながら、後をついてくる。最初は、放し飼いのイヌかと思った。あきれた飼い主もいるもんだよ・・・よく見ると、首輪がなく、妙に尾が長い。

八ヶ岳山麓のこの辺は、すでにキツネのテリトリー。

シカは毎日のように見かける。出会うと、優美な尻を向けて、跳躍しながら逃げていく。我が家の裏は、かわいいシカの糞だらけ。今朝は、立派な角のオスが、悠然と庭先を横切って行った。

耳を澄ませれば、リズミカルな打撃音。この森のどこかで、キツツキが巣作りをしている。以前は、心地よい夏の風物詩として聞いた。我が家の庇に、キツツキが犯人と思われる6か所の大穴を発見してから、音を聞くたび敵愾心が湧いてくる。

先週戸締まりをして出てきた箱根山ろくのマンションでは、ジョギング途中でサルに出会った。一昨年まで暮らした東京・世田谷の住まいも、3分歩けばウマを見かけた。

・・・これは、近所に小さな乗馬教室があったせい。それにしても今度の住まい、周囲に生きものの気配が濃い。

車で10分ほど山上に向かうと、国道にゲートが設けられている。秋、ここより先は雪のため閉鎖され、翌春まで通行不能になる。家の玄関も、冬は雪が吹き溜まり、ドアが開かなくなる。

山道を反対側に13キロほど下り、最寄りのスーパーへ買い物に行く。振り向けば、山中の我が家は雲に覆われている。下界は晴れていても、家に帰ると雨。山の気候は気まぐれで、天気予報は役に立たない。

東京で真夏日が報じられる日も、家の中でフリースを着た。昨夜は、20度に設定した暖房が作動し、温風が吹き出した。夜の屋外バーベキューでは、木炭の熾火が炬燵代わりになる。

周りはミズナラ、シラカバ、カラマツ、イチイといった木々が生い茂り、夏の間は隣の家も見えなくなる。そして、こんな山中まで、電気や水道が通じていて、郵便が届く。頼めば毎朝、新聞を配達してくれる。宅配便もやって来る。

大自然の中で、都会と変わらない暮らしができる。日本はすごい。

 東京に縛られる必要がなくなり、一昨年、雑踏から逃れて関東平野の片隅に引っ越し。そして今年から、夏を信州で暮らす。

 2地域居住は人生後半の目標なのだが、最初の計画では、寒い冬を東南アジアで過ごすはずだった。それが、タイは野良イヌが多すぎる。ネパールは停電が多すぎる。ミャンマーは食事に油が多すぎる。試行錯誤の末、こういうことになった。

 南国暮らしを前提に、早まって長袖をだいぶ捨ててしまった。そして、標高1600メートルの地は、予想以上に冷涼。この夏は、個人的に冷夏になりそう。

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