「世界は経営でできている」 岩尾俊兵著 講談社現代新書
「経営」と聞くと、つい企業経営のことばかり思い浮かべてしまう。
だが経営学者である著者の岩尾氏によれば、経営の目標は
「自分と他者を同時に幸せにすること」
そして私たちの日常は、経営の視点で見れば改善できることばかりだという。
本書で「その通りだなぁ」と思った部分を、ちょっとだけ紹介します。
憤怒は経営でできている
・こちらに対して一方的に怒りをぶつけてくる人を相手にする時は、相手の怒りの本当の理由を明らかにするという一種の推理クイズが始まったと思えばいい
・怒っている人は、脳という「人間が持つ最も有力な器官」を「怒りという何も生み出さない活動」に浪費してしまっている損な人
・怒りに身を任せる人は、いろんなところで相応の報いを受けている可哀そうな人でもある
・「短気」な人は「長期」の利益は得られない。そう考えれば、こちらも少しは優しくなれる
・我々が何かに憤慨する時は、相手や出来事そのものに怒っているのではない。自分で膨らませた想像に対して怒っているのである
・我々は、犬に糞尿をかけられようと猫が恩知らずだろうと激怒したりはしない。同じ人間相手だからこそ、さまざまな想像をしてしまうだけなのである
家庭は経営でできている
・現代の共働き家庭は、お金がある代わりに夫婦で余暇時間を奪い合っている。片働き家庭は、時間がある代わりにお金を夫婦で奪い合っている
就活は経営でできている
・とことん幸福を追求したいという強欲な人も、合理的に強欲を追求していけば、ある程度お金を稼いだところで、お金より時間と健康が大事になる。さらには、社会貢献などの精神的満足が大事になるはず
・まともな論理力があれば、誰でもいずれこの結論に至る
人生は経営でできている
・本来の経営は「価値創造=(他者と自分を同時に幸せにすること)という究極の目標に向かい、中間目標と手段の本質・意義・有効性を問い直し、究極の目的の実現を妨げる対立を解消して、豊かな共同体を作り上げること」だ
・千年前の王族より、現代の先進国における一般市民の方が豊かな生活を送っている
・昆虫から見れば、地球は千年前から何も変わっていない。変わったのは気温と人間の多さと…数えるぐらいだろう
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Matsumoto Japan, April 2025 |
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