2019年2月16日

子どもはミラクル


 朝のジョギング途中に、すれ違う親子がいる。

 小学生の女の子とお母さん。にぎやかにおしゃべりしながら歩いている。

 ある日、女の子がお母さんの背に負ぶわれていた。足にギプスが巻かれ、いつもは笑顔のお母さんも大変そう。

 何か手伝えることはありませんか、と声をかけて数日後。片足を引きずりながらも、もう自分で歩けるようになっていた。

 そして先日、飛び跳ねるような足取りで、お母さんを先導していた。子どもが持つ底知れない生命力を、目撃した。

 

 母子の間で、こんな会話が交わされたらしい。

「こんど2年生になったら、担任は誰がいい?」

「・・・いつもすれ違う、あのおじさんがいいなあ」

 優しそうで大好き、なのだそうだ。

 優しそうで大好き! 手を振っても、いつも素っ気ないのに?

「下らないことですが」と知らせてくれたお母さん、ありがとうございます。

 その後3日ぐらい、とてもハッピーな気分で過ごせました。



 夜、生活保護の子を対象にした学習塾に手伝いに行き、久々にRちゃんに会った。

 4月から中学生だという。初めて会った時はまだ小3で、勉強が苦手な子だった。おやつの時間にもらったパンを6個、全部ひと口ずつかじってから、「残りはネエネエに」。カバンにしまいこんでいた。

 久しぶりに話したら、いちいち「です」「ます」と大人びた口ぶり。漢字のドリルで難しい四字熟語を正確に書く。苦手なはずの算数も、スラスラ解く。

まるで別人。たった3年で、こうも成長するものか。

彼女のやる気に火をつけたのは、誰?学校で、いい先生に巡り合ったのだろうか。

近くの小学校で、「放課後児童クラブ」の指導員を募集している。時給1000円。クラス担任は無謀でも、これなら自分にも務まりそう。

「大きくなったらミュージカル女優になりたい」と、Rちゃん。大学生のネエネエによると、いつも自宅の鏡の前で踊っているそうだ。

人生後半のキャリアを模索していた数年前、自己啓発本を読み漁った。「キャリアに迷った時は、子どもの頃になりたかったことを思い出せば、そこに自分の本心が隠れている」と、書いてあった。

 子どもの頃になりたかったこと? 思い出せない。

Rちゃんは、いつまで今の夢を追うのだろう。

とりあえず、彼女が有名になった時に備えて、サインをもらっておいた。




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