新聞社に入ったカメラマン最初の大イベントが、夏の甲子園だ。
高校野球を県予選から取材し、耳の裏まで真っ黒に焦げてから甲子園へ。
朝から晩まで1日4試合、1球1球すべてをカメラに収める。それも毎日。
ことによっては、実際にプレーする球児より過酷かもしれない。
その甲子園への召集令状、なぜか私にはこなかった。
20年の歳月が経ち、デスクになってから初めて甲子園に行った。
外資系ホテルに泊まりながら取材本部へ。炎暑の球場から続々と送られて来る写真を、寒いほど冷房が効いた室内で、テレビ中継を横目に編集する。
ランチタイムは、目と鼻の先にある「マクドナルド甲子園駅前店」へ。8月の獰猛な陽射しが頭から降り注ぐ。ものの10分歩くとクラクラするほど、関西の暑さは凄まじかった。
新人だったあの頃、もし甲子園に駆り出されていたら、2試合もたずに気絶していた。ホームランを撮りそこなって、取材本部を騒然とさせていた。
当時の上司は、つくづく人を見る目があったなと思う。
演出家の鴻上尚史が書いた「不死身の特攻兵」に、こんな記述を見つけた。
心の底から共感したので、少し長いが引用したい。
「僕は毎年、夏になると、いったいいつまで、甲子園の高校野球は続くんだろう、と思います」
「10代の後半の若者に、真夏の炎天下、組織として強制的に運動を命令しているのは、世界中で見ても、日本の高校野球だけだと思います」
「毎年、日本の夏が厳しさを増していることはみんな気づいています。亜熱帯と呼んでもいい気候になっていることをみんな知っています」
「けれど、いつものように、炎天下の試合は続きます」
甲子園が「ただ続けることが目的」になってきているのに、「大人たちが誰も言い出さないまま、若者達に命令するのです」
「その構図は特攻隊の時とまったく同じです」
毎年8月になると、私も「高校生の虐待が始まった」とわめいて、妻にうざがられる。テレビに向かって叫ぶより少しは生産的かと思い、ブログに書く。
高校野球・夏の甲子園大会は、早くやめるべきだ!
__その昔、甲子園をあおる報道に加わった自責の念を込めて
※ 私の代案は、会場を京セラドーム大阪に移すこと。あそこなら空調完備だ。
高校生には快適な環境で、最高のパフォーマンスを発揮して欲しい。
高校生には快適な環境で、最高のパフォーマンスを発揮して欲しい。
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