外出支援のボランティアをしていると、助手席に座る利用者は障がい者、高齢者、生活保護受給者だ。
3つすべてに該当する人もいる。
車いすでひとり暮らす男性を乗せたり、自炊する失明した女性を乗せたり。
その行き先は、決まって病院だ。
傍から見れば大変な状況だが、みな淡々として、感謝のことばを忘れない。
毎週、病院通いをする婦人がいる。車いすに掛けられた上品なひざ掛けのふくらみは、片足がない。治療のための通院だとばかり思っていたら、違った。患者のために、ボランティアで美術指導をしているそうだ。
日々感じるのは、障がいや病気の多くと貧困の一部は、彼らの生き方とは何の関係もないということ。
「なぜこの人が、こんな目に遭わなければならないのか」
答えは見つからない。
世の不条理にぶつかった日は、送迎帰りに近所の児童館へ。主催者が心の広い人で、会社に行かない社会不適応者にも居場所を与えてくれる。
古びた建物に入ると、子どもたちが音楽に合わせて踊っている。いやリズムを無視して飛び跳ねている。その小さな背中が、たまらなくかわいい。
時々ひざの上によじ登ってきて、その日の出来事を話してくれる。
たちまち幸福で満たされる。家路につく頃には、心のビタミンが120%充填されている。今日も夕焼けがきれいだ。
その日もいそいそと児童館へ。いきなり、アンパンマンが大好きなYuiちゃんのママに「ちょっと顔貸して」と言われる。
怖い。なにか粗相でもあったか。でもきれいなYuiちゃんママにだったら、ボコボコにされてもそれはそれで・・・
いやいやそういう話ではない。エステティシャンの試験を控えた彼女の、練習台に抜擢されたらしい。
くすぐったいから首から下はパスしたい。「美顔エステ」は、もともと首から上だけだそうな。知らなかった。
その翌週、誘った妻とは予定が合わず、一人のこのこ温泉町のエステサロンへ。ドアの前に立った時は、恥ずかしくて帰ろうかと思った。
その後のことは、とても語り尽くせない。人生初のエステ体験は、至福の2時間31分。自分の顔とは思えない、ぷよぷよ肌になった。
・・・世の不条理を書くつもりが、なぜか美顔エステの話に。
でもせっかくなので、このままにしておきます。
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