何やら見覚えのある、給与明細のような書類が前の会社から届いた。
給料日の来ない生活になって、すでに半年がたつ。
何かの手違いで給料がもらえるのか。期待して開けてみると、もっとすごかった。
賞与明細だ。
会社を辞める時、誰もが「次のボーナスをもらってから」と考える。私も抜かりなく計算し、ボーナスを手にしてから退職した。まさかもう1回、もらえるとは。
実をいえば、この日が来るのを少しだけ予感していた。以前、転職した会社の先輩に「最後に働いた2か月分のボーナスが、忘れた頃に振り込まれた」と聞いていたからだ。
半信半疑でいた。本当だった。私にも、きっちり最後2か月分のボーナスがもらえる。退職のタイミングなど、まったく計算する必要なかった訳だ。
しかもその2か月、私は有給休暇で西表島に遊んだりして、全く会社に行っていない。本当にすばらしい会社だ。いまごろ気がついた。
ちなみに、先に転職したその先輩、「今の会社のボーナス半年分が、前職のボーナス2か月分より少なかった」と、ショックを受けていた。
キャリアを変える決断をして、人が新たな高みを目指すとき、一時的に収入が減るぐらい覚悟しなければいけない。
私など、減ったどころかゼロに近い。
なに、今は雌伏の時。そのうち私も、毎冬のタイ往復をビジネスクラスで行けるぐらい、お金持ちになってしまう予定だ。
問題は、この雌伏の時がいつまで続くかだ。3か月で終わるか、30年続くか、私にもわからない。そもそも、今が雌伏の時、という自覚が足りない。このボーナス、貯蓄してもすぐなくなるだろうし、自身の自己啓発に使うのは、もっとリスクが大きい。
それより人口統計に賭けた方が、はるかに確度が高そうだ。ジャック・アタリによると、2050年にはインド人が中国人を追い越し、ナイジェリア人がアメリカ人より多くなるという。人口増加とGDPの増加にはおおむね正の相関があるので、ボーナスはインド株やナイジェリア株に投入すべきだろう。
儲かるまで長生きするという、大目標もできる。
ギリシャ危機で世界市場が乱高下している。今が仕込み時だ。我ながら名案だ。
ところが。
夢のボーナス支給日と前後して、市役所から一通の封書が届いた。中には、住民税1年分の請求書。その額、ボーナス、プラス30万円。納付期限が迫る。
降って湧いた臨時収入は、右から左へ、3日で消えた。
人生、甘くない。
0 件のコメント:
コメントを投稿