2014年12月31日

夢と希望のエアアジア


2014年暮れ。いま、バンコクです。

 チェンマイから乗ったほぼ満席のエアアジア3444便は定刻に離陸し、無事にバンコク・ドムアン空港に到着した。機体がチェンマイに到着してから、折り返しバンコク行きとして出発するまでの駐機時間は30分という短さ。機内誌のページにガムがくっついていて、清掃は万全とはいえなかったが、LCCが定時に目的地まで飛んでくれれば、それ以上何を望もうか。

 今回のウェブ予約では、最初に表示された金額に空港税や各種サーチャージ、保険代、荷物預け代、座席指定代がどんどん上乗せされ、とどめにクレジットカード利用手数料まで取られた。それでも同路線を飛ぶタイ航空やバンコク・エアウェイズ、ノックエアなどより安かった(最安値はライオン航空だったが、インドネシア系LCCは事故が多い気がしてパスした)。エアアジアと競合する路線では既存のエアラインも運賃を下げざるを得ないはずで、利用者にとって恩恵は大きい。9月に台北~コタキナバル間でも同航空を使ったが、2200キロを飛んで1万3千円という安さだった。エアアジアは確実に、東南アジアの空に革命を起こしている。

ちなみに、この時はコタキナバル周辺が豪雨に見舞われ、近くのラブアン空港にダイバートするハプニングがあった。セクシーすぎる女性キャビンクルーの制服やメイク(ちなみに男はホストみたいだった)を見る限り、とても安全に気を使っている会社には見えないが、キャプテンの状況説明はしっかりしていて、不安は感じなかった。

最近読んだ日本人ベテラン機長の回想録によると、プロの目で見て一番安全なのは米系エアラインの大型機で、「どんなアクシデントがあっても絶対地上に連れ戻してくれる安心感がある」そうだ。2009年の「ハドソン川の奇跡」で、全エンジンが停止した機体をグライダーのように操って川に着水させ、乗客全員の脱出を見届けてから飛行機を離れた米USエア、サレンバーガー機長の例があったので、深くうなずいてしまった(ちなみに乗客の証言では、同機長が発した「Brace for impact…」という、乗客に心の準備を促すたった一言の機内アナウンスはとても冷静な声だったそうだ)。

 3日前、インドネシア・スラバヤ発シンガポール行エアアジア機が墜落した。乗員乗客162人のうち155人はインドネシア人だったという。事故は残念だが、同便の存在が多くのスラバヤ市民に、隣国シンガポールに行くチャンスをもたらした面もあると思う。

私もまた、エアアジアのカンボジア往復航空券を持っている。体を張って乗り、断固たる支持を表明しようと思う(事故前に買ったこの切符が、払ったが最後2度と払い戻せない仕組みだから、屁理屈をこねているわけではありません)。

 Now Everyone Can Fly!



2014年12月28日

退職金で原油を買う


 退職した翌日、銀行口座に退職金が振り込まれていた。
 今まで生きてきた中で、一番お金持ちになった。
 さっそく何か買おう。

 ・・・そして、アマゾンから無数の赤いポリ容器入りの原油が届いた。

 もちろんそういう訳はなく、いま滞在しているタイ北部ナンプレー村のゲストハウスから、原油の国際指標に連動するETFをタブレット端末で買ったという話です。

 株や債券、不動産といった運用商品は、最近世界中で値上がりしてしまったようで、割安感はない。
 ところが原油だけは、米国で進むシェール革命や中東産油国の減産見送りなどで、今年に入って4割も値下がりし、大バーゲンセール中らしい。
 ここナンプレー村があるタイ第2の都市チェンマイは、訪れるたびに交通渋滞がひどくなっている。発展途上国を中心に、石油需要は増え続けるとしか思えない。化石燃料の埋蔵量には限りがある。いつかは値上がりするはずだ。それも、とんでもなく。

 経済学者リンダ・グラットンは「ワーク・シフト」で、将来は化石燃料の枯渇で航空運賃が高騰し、人々が今ほど飛行機で移動しなくなると予想している。今回バンコクからチェンマイまでの約600キロを、片道6000円ほどのエアアジアで来たが、これから簡単に来られなくなる時代が来るかも知れない。移動の自由を奪われるのはつらい。今のうちに原油(指数)を買って、将来の移動コストをヘッジしておこう。
 ちょうど日経電子版にエアアジアCEOトニ・フェルナンデスのインタビューが出ていた。彼も原油価格の上昇を見込んで、来年の航空燃料代の購入にヘッジをかけたと言っている。自分に都合のいい情報ばかりを集めてしまうのは、私の悪い癖だ。でも、コストの50%を燃料代が占める航空会社のトップが、会社の存亡をかけて考えたことだ。当たるに違いない。

 
 勇んで買ってはみたものの、原油の値段はその後さらに下がり続けている。人生、そういうものだ。成功者とは、成功するまでやめない人のことだという。私も、原油が上がり始めるまで長生きしようと思う。


肉食女子

わが母校は、伝統的に女子がキラキラ輝いて、男子が冴えない大学。 現在の山岳部も、 12 人の部員を束ねる主将は ナナコさんだ。 でも山岳部の場合、キャンパスを風を切って歩く「民放局アナ志望女子」たちとは、輝きっぷりが異なる。 今年大学を卒業して八ヶ岳の麓に就職したマソ...