2026年2月5日

サナエが許さない

 

夜のセブ国際空港に降り立ち、配車アプリで白タクを呼んで市内へ。

その途中、突然ドライバーが

「アイウォントペイ!」「アイウォントペイ!」

叫びながら、急ブレーキで暗がりにクルマを停めた。

すわ、ドライバーが強盗に変身か! 一瞬、身構えた。

でも彼は車を降りると、一目散に草むらに駆けていく。

どうやら、膀胱が満タンだったようだ。アイウォントピー、だった訳ね。

 

ここセブ島は、本物の銃が撃てることで有名らしい。今回の留学先「C英語アカデミー」の女子が、盛んに「私もテッポウ撃ってみたい!」という。

最初の週末、その好奇心に便乗することにした。

個人レッスンで教わるS先生が、ガンクラブの会員だ。射撃練習場に予約を入れ、マイカーで送迎までしてくれた。

インストラクターに撃ち方を教わって、まず手始めに、片手で撃てる拳銃からスタート。憎っくきパワハラ元上司の名前をターゲットに書いて、コルトの9ミリで撃ちまくった。

残念! 急所を外した。運のいい奴だ。

次に、銃身の長いショットガン(45キャリバー)を試す。ヘッドセットとゴーグルを身に付けても、ものすごい発射音と衝撃が、身体全体に伝わってくる。実弾50発を購入したが、半分も撃てずにギブアップした。

射撃場の客は、軍隊上がり風のマッチョばかり。我々は完全に場違いで、浮きまくっていた。でも同行のニッポン女子たち、思いのほか楽しんだみたい。

私「S先生、ずいぶん野蛮な趣味を持ってますね~ テッポウ撃つのってそんなに楽しい?」

S「それはもう! 水鉄砲で撃ってたガキの頃から好きでしたから。ガンシューティングは、ぼくのstress reliever でもあるんです」

私「もし日本が戦争に巻き込まれても、テッポウ撃つなんて、ぼくには無理! その時は難民になってセブ島に亡命するから、先生かくまって下さい」

S「ふふふ…そんなことは、サナエが許さない」

私「…頭のおかしな奴が来て乱射事件を起こしたら、なんて心配はないの?」

S「それは、私も怖い。一度、ウチの生徒がべろべろに酔って来たことがあって、とても怖かった。それ以来、やばそうな生徒が銃を撃ちたいと言ってきた時は、予約でいっぱいだ、と断ってますよ」

その数日後。レッスン中の雑談で、S先生自身も大の酒好きだということが判明した。アルコールが切れると、手が震えてくるという。

実弾射撃場…ハイ、金輪際近づきません。




サナエが許さない

  夜のセブ国際空港に降り立ち、配車アプリで白タクを呼んで市内へ。 その途中、突然ドライバーが 「アイウォントペイ!」「アイウォントペイ!」 叫びながら、急ブレーキで暗がりにクルマを停めた。 すわ、ドライバーが強盗に変身か! 一瞬、身構えた。 でも彼は車を降り...