2026年2月20日

青い瞳の少女~セブ島留学日記③

  

2月、最初の週明け。

留学先の「C英語アカデミー」クラスメート6人が帰国し、新たに14人が入学した。その多くが、春休みに入った学生たちだ。

大学生に混じって、青いカラコンの高校生、沖縄出身のfuukaさんがいた。留学中、彼女には「パパ」とか「おさるのジョージに出てくる黄色い帽子のおじさん」などと呼ばれ、さんざんいじられた。

fuukaさんとの会話は時として、英語ネイティブと話すより難しい。

私「そのカラーコンタクトつけてると、周りが青く見えたりするの?」

f「当ったり前じゃん! で、パパはネイルやる?」

私「メール? もちろんやるよ」

f「違うよ、ネイルネイル!」

やるわけないじゃん!

彼女の周りの男子は、主に清潔感を演出するため、せっせと指先のおしゃれに励むらしい。

Lost in translation...

1020代のクラスメートには、初めての海外がフィリピン、という人も。

「日本から持って来たドライヤーをコンセントにつないだら、ボンッっていって壊れました」

うう…フィリピンの電圧は220V、日本の倍以上だ。そのままつなげば、下手すると発火する。

「次にアイロンをコンセントにつないだら、またボンッていって壊れました」

え? アイロンまで持って来たの? え? ヘアアイロン? 

女の人って、髪の毛にもアイロンかけるんか…


 彼ら学生たちの間でも、ニーサやオルカンへの関心は高い。

18歳のfuukaさんにも、「投資は早く始めた方がいいの?」と聞かれた。

そうだなぁ… 

とりあえず、ネット証券にニーサ口座を開くぐらいは、やってもいいかも。

試しに少額を投資して、マーケットの値動きの荒さを肌で感じておくのも、いいかも知れない。

でも、1020代の感受性は、期間限定だ。

今は金融資産に投資するより、語学留学や、途上国への旅で「自分」に投資した方が、将来のリターンが高い気がする。

fuukaさんがフィリピン留学を選んだのは、大正解だと思いますよ…

そんなようなことを、答えた。

「大人になったら、絶対お金持ちになってやる!」

「お金持ちになって、子どもの学費を現金一括払いで、バーンって払う」

珍しく真顔で語るfuukaさんの「お金持ち」像が、妙にリアルだった。




2026年2月13日

目的はオトコ漁り~セブ島留学日記②

 

去年のセブ島英語合宿は、先生だけで500人いるマンモス校だった。

グループレッスンには、韓国美人のミョンジンや、マカオのイケメン、マークがいた。校内のカフェテリアでは、ベトナムやロシア、モンゴル、台湾、タイ、フランスの人たちと隣り合わせた。

打って変わって今年は、先生も生徒も20数人、という小規模校。しかも、クラスメートは全員が日本人。セブ島の片隅に、空気を読んだり忖度しあったりの、小さな日本人社会ができた。

朝昼晩の食事時は、全員が寮の食堂に集まる。語学留学の常で、マジョリティは女性だ。果たして今日は、どの席で誰と食べようか…毎回、気を遣った。

髪を金色に染めたminaさん(推定60代)が、持参のウイスキーをテーブルにドンと置き、ドバドバとコップに注いでいる。2日で1本が空くハイペース。目が据わっていて、怖い。

「うちな、マニラのスラム街で子どもに飴ちゃん配るのが好きやねん」

根はやさしい人…かも。

そのminaさんと寮で相部屋なのが、東京から来たminoriさん(21)。ある晩、minoriさんが寝ようとすると、隣のベッドの真ん中に、まあるい丘がふたつ、暗がりに並んでいるのが見えたような、見えなかったような…

翌朝、minaさんが

「うちな、寝る時はいつも素っ裸になるねん。自宅のベッドはシーツが上等やから、裸で寝ると、そら気持ちええで~」

inaさんがトイレに立った時の、minori さんとの会話

「生まれも育ちも違う大阪の酒豪と一緒に暮らせて、minoriさんってすごいな。ホント尊敬します」「もっと他のことで尊敬して下さい」

iho(29)さんは長身、黒髪のクールビューティ。きっぱり会社を辞めてきた。

ITエンジニアは、転職しないと給料が上がりませんから」

そして、

「英語学習の目的は、クラブで金持ちの白人男をゲットしたいから」

と公言する。

mihoさんの率直な言葉を受けて、清楚な方々のガールズトークがさく裂した。

「この辺の男はビンボーだから、タクシー拾ってITパークに行くといいよ」
 ※ITパーク…マイクロソフトやIBMなどの多国籍企業が集まるセブ島の異界

「ワーホリ行くなら、イケメンが多いカナダがお勧め! 私もめっちゃ惚れた人ができて、2人で旅行に行ったりで楽しかった」

「私が高校時代つき合ってた男は、担任の女教師と二股かけてた。卒業式で、ふたりがペアリングしてるの見ちゃった」

TV業界の男は、すぐ二股かけるから要注意だよ」

世の中そんな男ばっかりじゃないよ、と言いたくても、多勢に無勢。

セブ島の蒸し暑い夜が、今日もぽつりぽつりと更けていく。

(怖そうな人は仮名にしてあります)



2026年2月5日

サナエが許さない~セブ島留学日記①

 

夜のセブ国際空港に降り立ち、配車アプリで白タクを呼んで市内へ。

その途中、ドライバーが

「アイウォントペイ!」「アイウォントペイ!」

と叫びながら、急ブレーキで暗がりにクルマを停めた。

すわ強盗に変身か! 一瞬、身構えた。

彼は車を降りると、一目散に草むらに駆けていく。

どうやら、膀胱が満タンだった様子。アイウォントピーと言いたかったのね。

 

ここセブ島は、本物の銃が撃てることで有名だ。今回の留学先「C英語アカデミー」の同級生女子が、「私もテッポウ撃ってみたい!」という。

最初の週末、その好奇心に便乗することにした。

個人レッスンで教わるS先生が、ガンクラブの会員だ。射撃練習場に予約を入れ、マイカーで送迎までしてくれた。

インストラクターに撃ち方を教わって、まず手始めに、片手で撃てる拳銃からスタート。憎っくきパワハラ元上司の名前を標的に書いて、コルトの9ミリで撃ちまくった。

残念! 急所を外した。運のいい奴だ。

次に、銃身の長いショットガン(45キャリバー)を試す。ヘッドセットとゴーグルを身に付けても、ものすごい発射音と衝撃が、身体全体に伝わってくる。実弾50発を購入したが、半分も撃てずにギブアップした。

射撃場の客は、軍隊上がり風のマッチョばかり。我々は完全に場違いで、浮きまくっていた。でも同行のニッポン女子たち、思いのほか楽しんだみたい。

私「S先生の趣味、ずいぶん野蛮ですよね~ テッポウ撃つのってそんなに楽しいかなぁ」

S「それはもう! 水鉄砲で撃ってたガキの頃から大好きでしたから。ガンシューティングはぼくの stress reliever でもあるんです」

私「頭のおかしな奴が来て乱射事件を起こしたら、なんて心配はないの?」

S「ぼくもそれは不安。一度、ウチの生徒がべろべろに酔って来たことがあって、すごく怖かった。やばそうな生徒が銃を撃ちたいと言ってきた時は、予約で一杯と言って断ってますよ」

私「もし日本が戦争に巻き込まれても、テッポウ撃つなんて無理! その時は難民になってセブ島に亡命するから、先生かくまって下さい」

S「ハッハッハッ、そんなことは、サナエが許さない」

その数日後。レッスン中の雑談で、S先生自身も大の酒好きだということが判明した。

アルコールが切れると、手が震えてくるという。

実弾射撃場…ハイ、金輪際近づきません。




青い瞳の少女~セブ島留学日記③

   2月、最初の週明け。 留学先の「 C 英語アカデミー」クラスメート6人が帰国し、新たに 14 人が入学した。その多くが、春休みに入った学生たちだ。 大学生に混じって、青いカラコンの高校生、沖縄出身の fuuka さんがいた。留学中、彼女には「パパ」とか「おさるのジョージに出...